素人の靴作り

自分の足の形を客観的に見てやろうという出来心から木型を削り始めたのですが、いざ木型を削り終えたところで、やっぱり靴を作ってみたくなって、先達のブログを参考にしつつド素人の見よう見まねで木型があっているかどうかのチェック靴を作ってみました。つまさきの形を絞るのに、どれぐらいの余裕があるのか実際に履いてみないとわからないと思ったのもチェック靴を作った理由の一つです。内張りなしの靴です。革細工もド素人なのに完全手縫い。革ミシンなんて持っていませんし。形になったのはいいのですが、市販のどんなに安い靴ですら高級に見えてしまうほどの、ひどすぎる見栄えの靴になってしまいました。天然クレープを適当に切って貼って作った簡易底のせいで、見栄えのひどさが100倍増しになって、これは恥ずかしすぎて人前で絶対に履けない靴です。
もはや、完璧に自己満足の世界。
ぼちぼちと手が開いた時間に作業を進めていて、所要日数はおおまかに、足の採寸に1週間、木型削りは両足で2週間ほど、型紙作りに1週間ほど、革を切って縫ってまでが3日、つりこみと底縫いに半日、底付けに数時間という感じです。
写真を撮り忘れていますが、最初は足の採寸から始めました。かかとの高さを決めてから、椅子に座って床に裸足の足を付けてつまさきから甲のてっぺんまでを1.5cm間隔で垂直断面形状を型取りゲージで厚紙に写しとっていきました。その後、厚紙を切ってゲージにして足にはめてみて断面があっているかをチェックしました。それとは別に1の甲、2の甲、3の甲の足囲いとかかとの履き口寸法をそれぞれ巻尺で採寸し、木型の形が厚紙ゲージになった後に、どれぐらい殺しを削り込むかの参考にしておきました。さらにかかとの形状を。コピックと石膏を使って凹型を作っておきました。指先の位置を含む足の裏の形状は、木型の足囲いの寸法になるようにサランラップで1の甲を縛っておいてから、起立して、足のフットプリントを粘土でとって石膏に型を写しておきました。
自分の足は、甲に瘤のように関節が飛び出していて、かかとの骨も上側が出っ張っている上に、かかとの履き口が細くて、まともな靴では対応しきれない、ロクでもない形をしていますので、その辺をサポートできるようにしておきます。

木型は入手しやすかったこともあって、東急ハンズに売っていた手頃な大きさのパインの集成材から削り出すことにしました。柔らかくてさくさく削れるのいいのですが、伏兵が一つ潜んでいました。集成材ですから木目が揃っていないのです。そのため、すっと鉋をいれていったら、途中で逆木になってえらいことになったりで苦労しました。手に入るならば、十分に乾燥を終えた桜のブロックを使った方がいいと思います。

荒取りを終えたところです。甲からゆびさきの部分を斜めに削り落とし、かかとの両側を落としてから、周囲のシルエットにそって形を決め、その後、曲面を作っていきました。つまさきの形状は、どれぐらい指先に捨て寸がとれるのか自信がなかったので、おおまかに1.5cmほどとっておいて余裕をみています。

削り終えたところです。つまさきはぼてっと丸くて格好が悪くなっています。自分の足先形状は人差し指が若干飛び出している、いわゆるギリシャ型とスクエア型の間ぐらいの格好をしており、経験上、つまさきを絞ると確実に小指を痛めるのはわかっていまして、用心したわけです。
プロの方々が使っている木型とは甲からかかとの部分の形が異なっていて、足の甲の形に近づけるように木型の形を崩しています。自分の足の甲の親指の中足骨の関節がコブになって出っ張っていることへ対応したかったからです。おかげで、型紙を作るときにものすごくめんどくさくなってしまいました。

型紙を作り、革を切り出したところです。先芯用の革、つまさき部分の革、腰革、ベロ、かかとの補強と続きます。かかとの補強は一本棒と半ズボンの両方を切り出しておいて、縫ってみてからどちらを使うかを決めることにしました。なんとアバウトな。カウンターは今回は入れていません。裏張りなしでカウンターを入れる方法を思いつけなかったからです。
型紙の作り方は、試行錯誤の末に、かかとの履き口からモカシンのラインに沿って線を引き、履き口をその線から外れないように曲線で作り、1の甲(ボールガース)よりも1cm高いところに羽根の下端を決めて腰革の形状を決めました。それをクラフト紙に写して切り出して木型に被せ、つまさき側の革を腰革の端に接続するように現物合わせで決めました。
靴のタイプは内羽根プレーントゥの簡易バージョンです。甲のフィッティングをみたいので内羽根にすることにしました。指先の余裕を調べるためにプレーントゥに。先芯は指先を触診で調べやすいように、革にゴム接着剤を塗って形を整えるやりかたにして柔らかい芯にしておきます。どっちにしてもつまさきの形状がださいので、縫いやすさを優先して、腰革とつまさき部の合わせ形状を簡略化しました。
革は、東急ハンズで買った半端ものです。軽く型押しが入っていて、おそらく、クローム鞣だろうと思っています。厚さは1.5mm。柔らかい革で、扱いがすごく面倒でした。次に作るときは、もっと固い革を使いたい。

革の端を漉いて、縫い終わったところです。手縫いです。ものすごく下手な縫い目で、拡大すると目を背けたくなります。靴用の革は柔らかいものが主流ですし、革への穴の開け方を練習しておかないといけないのかも。

つりこんだところです。今回、中底は厚さ3mmのサドルレザーを使いました。かかとをつりこんで、吟面をやすりで落とし漉いておいた先芯に接着剤を塗ってから甲革の下に挟んでつまさきをつりこんで、最後に両脇を締めていきました。ワニを持っていないので、小型の金槌とラジオペンチを使ってつりこんでみました。
どうやらパターンを型紙に写すときに間違えてしまったようで、右足のつまさき部の革の形状が予定したものとは異なってしまいました。そのせいで、片側のつりこみ代が足りなくなるは、屈曲部のへこみの部分でつりこみが不完全で革が浮いて皺が入ってしまっているはで、失敗作もいいところです。さらには、先芯にゴム接着材をつけてつりこんでみたときに、先芯の側面の部分に大きな皺が入ってしまって、それが甲革にまで形が浮き出てしまっています。ダサさの上乗せになってしまいました。

それでも、強引に甲革と中底を麻糸ですくい縫いで縫い止めて分離しないようにした上で、本底をつけてみました。中底と甲革はリブなしウェルトなしのダブルのハンドソーンに近い縫い方でなんとかくっつけています。マッケイの一種になるのかな。ウェルトをつけても良かったかもしれませんが、革の余裕がなかったので、本底はセメンテッドでつけました。それにしても、これならステッチダウンにしておけばよかったと、つりこんでから気づいたのですが、後のまつり。シャンクは家に転がっていた、厚さ2mmの細い木の板を蒸してから木型の形に沿わせたものを使っています。そのうち割れるでしょうが、チェック靴なのだし、耐久性はなくて良かろうと。
本底は、東急ハンズの靴底修理材に並んでいたクレープを貼りました。貼ってから気づいたのですが……クレープってやすりがけできないのですね。おかげで底の側面はがたがたのままです。そのせいで、ダサさが大幅に上乗せされています。
簡易靴にしたのに初めての靴作りは大失敗で、反省点ばかりです。足をいれたら、甲からかかとまで、履き口含めてぴったりになっていたのと、土踏まずのサポートもまずまずで、良かったのはその点だけです。つまさき部分は、予想通りぶかぶかでした。明日の夕方の散歩で履いてみて、つまさき部の余裕を割り出してから、木型を修正することにします。修正後のチェック靴は、今度はステッチダウンにして、靴底はやすりで削れる素材にしようと思います。
それにしても、人様の前に履いていけるほどの靴が作れるようになるのは、いったいどれぐらい練習すればいいものなのか。せっかく始めてみたので、趣味にして、だらだらと作っていこうと思っています。さて、どうなることやら。